底辺アルバイト

 朝、バイトの第二期がはじまった。死ぬほど、という言葉がとてもよく似合う暑い日だった。今日のキーワード。厳しい日光、それをはね返すコンクリート、湿気、汗、脂汗、重くなる作業着、塩を吹く下着、頭くらくら、耳鳴り、切れる小銭、無くなるポカリ、生暖かい公園の水道、39℃。


 夜、「風雲ジャズ帖」を読んでいたらどうしようもないくらいライブを演奏(や)りたくなってきて、バンドを組みたくなってきて困った。あと結構、沈んでる気分や生活、忸怩たる思い、恥ずかしい記憶のせいで、未来に対する不信感や無力、無気力、無能感で押し潰されそうになっていたのに、ロカッツの「WOMAN'S WISE」一発で引っくり返って元気になったので、こういう曲はかけがえないなぁと感動を噛みしめると同時に、おれはこんな曲は作れないし志向もせず、やはりハードコアでビッと決めたいと思い、CRUDOS、HERESY、MINOR THREAT、Big Boys、Bad Brainsの良いところで形成された曲で、しかも「新しいこと」をしちゃう未来のおれを夢想した、と言うか独りでエアギター、エアドラム、エアボーカルで小一時間ライブをした。


 当たり前の話。この世界は、適温のシャワーを浴びてクーラーのきいた快適な部屋で他人のセックスを拝みつつ手淫にふけるような人(たち)と、最低限の衣食住さえままならない人(たち)が混在している。遠くの国を想わなくても、街ですれ違った人同士でさえ、そういう格差というか、状態の違いがそれはもう自明のものとしてある。その状態はある程度の時間で推移したり、一瞬で急変したりするし、ほとんどずっと変わらないこともあるだろう。しかし常にいくらかの状態を持っていて、それは誰かに相対化されることがしばしばあるけれど、本人の考え方次第でどうにでもなるものだ。ある視点から見て、恵まれすぎた環境にいるくせに不幸や虚無を嘆く人がいる一方、どん底の生活の中で家族の愛という繋がりだけで至上の幸せを実感する人がいる。常に大麻を吸っていられればそれに越したことはないのだけれど、そうもいかないからこんなことを考えねばならんのだ。相対的なもの(劣等・優越感とか)なぞ考えたくもないけれど、それに支配されていて味気ない頭の中だから、こういうのを追い出すというか克服したいねという話。すり替え。