仁義なき戦いNIGHT

 六本木ヒルズのヴァージンシネマまで仁義なき戦いNIGHTと題された五部作のうち第ニ部を除く四本を夜から朝まで連続で放映するというプログラムを観てきた。大雨のさなかにして、充実した時間を過ごすことができた。


 戦いのたびに真っ先に斬り込み、そして死ぬのはいつも若者だ。その際の、組織のためにという大義名分を否定的に描いているように感じた。「代理戦争」における倉元(渡瀬恒彦)の死は決して美しくなく、むしろただ残酷だ。第五部の最後、広能(菅原文太)が退く決意をするのには彼にとって残酷な二つの要因がある。ひとつは北大路欣也の松村ら次の世代の台頭だが、もうひとつには、自らの組の名前も知らない若者の死だ。
第一部はキノコ雲のショットからはじまって第五部の最後は原爆ドームの映像でしめられる。してみると飛躍承知で連想するのは、抗い難いでかい力とか、それを否応無くくわえられるというイメージ。主人公を起点に考えればその力というのは時代の移ろいなんかに置きかえられて、それを浮き彫りにするのが若者の死と言える。
 幾度も繰り返される若者の死にひどく胸が痛んだ。
 できそこないの"上"のケツを拭かされるのはきまって若者だ。帰りの東西線の車内で目にした五歳から労働を課せられる子供たちの話は、この一連の作品の脚本に通底するひとつのテーマと無関係とは言えないだろう。なんて言うけどこれは何かができるわけでもない極めて無責任な意見だけれど。


 あと揺れまくるカメラとか、時折映像や音声が飛んだりフィルムの質が一変したりするのとか、過剰な演技とかが、今まで小津漬けだった自分には愉快でたまらなかった。菅原文太はブチギレてる。ハイエナジー

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